一般社団法人 岐阜県林業経営者協会

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2013年12月号

雛屋山林 施業の遍歴               桑原善吉のぼやき

昔から守られてきた山林経営の断念

  当社は関市洞戸地区に250haの一団地を所有しているので、毎年2~3haの皆伐を長年に亘り実施してきた。伐採地は翌春に植林し、保育を永続しておこない、一巡する100年の後には元の場所に戻り、その場所で成長した100年生の杉桧を再度伐採するという循環施業である。このサイクルを守り続けて今日に至ったが、材価の低迷や経費の高騰などにより収支が合わなくなり、いつしか皆伐面積は2haから3ha超に増えてゆき、守られてきた百年一巡式経営が成り立たなくなった。

複層林化へのシフト


  皆伐面積の増加に伴い、育林当初に手間の掛かる下刈り・雪起し・枝打ち等の作業量も増大し、作業ペースに歪が生じて作業が遅延するようになっていった。そこで保育に手間の掛からない施業方法として複層林施業に着手する事を検討していた最中に、平成13年度より岐阜県林政部の勧めも有り、長期育成循環施業を開始した。約50haの一団地の内、7年間で33haを40%の割合で誘導伐採していった。伐採にあたり選木は後々の抜き切りを考慮して、優良木も劣勢木もほぼ均等とした。単年度の平均面積は5ha程となったが、炎天下の過酷な下刈り作業は格段に軽減できた。手間の掛かる抜き切り施業に対する補助金は、当初適正に配分してもらえたので永続できる施業形態として今後の主軸としていくつもりであった。しかし、林業行政の方針変更により制度も様変わりし、この施業方式は終わった。

翻弄される施業方法

  ぼやき10月号で遠藤さんが「林業に補助金が支払われるのは公益上必要なこと」であると掲載してくれている。確かにその通りであると足下を照らして考えてみるが、近年は施策の変化が速くて、数十年を一括りとして営む林業家にとっては翻弄されっぱなしで地に足が付いていない感じでいる。つまりは補助金の支給形態の変化に合わせて、施業を変えていかなければならない程、山林業は疲弊しているとも言える。とはいえ、営利を目的に山林業を営む私共としては、我が山林のベストを求めて諸施策の動向を注視していかなければならない。

最近チャレンジしている施業

 結局、今は何がベストか解からないままに試行錯誤している現状ではあるが、昨年は平成20年から止まっていた皆伐に着手した。森林環境保全直接支援事業を利用し、12齢級が中心となる0.07ha~0.25haの小面積林班を14か所設定して皆伐を実施。各林班の幅員も30m以内とし、基幹林道での集材作業が行える場所を選定した合計1.70haの帯状皆伐である。一団の裸地面積を少なくすることでの林地保全と、小面積ではあるが通常の皆伐と同様の伐採集材作業は効率化されると判断した。本年春には1500本/haの植林も済ませた。この事業で注意する事は、今回設定した総事業エリア8.50haは間伐と同様に5年間伐採出来ない。毎年順番に小面積皆伐を繰り返していくつもりが、不勉強で計画の変更を余儀なくさせられた。

また、昨年より林業の機械化促進を図る為、これまで造ってこなかったフォワーダ用林道を造り始め、昨年二路線で600m、本年は先頃一路線600mの工事も完成した。徐々にではあるが高密路網による効率的施業に移行させて、山林経営を健全に永続させて後世に繋げていきたい。