一般社団法人 岐阜県林業経営者協会

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2014年1月号

“山林所有”ということ                   小坂善紀のぼやき

     「山林からの眺望」
     「山林からの眺望」

 日本全国、造り酒屋は山林を多く所有しているところが多い。本当かどうか定かではないが、お酒という性質上つけでの支払いを払えず、借金の方に物納という形で増えていったという説もある。田舎では古くからある薬局、薬店も山持ちの場合があるという。

 当家も美濃市、郡上市に山林を所有している。あえて山林所有者という表現をした。山で仕事をする形式にはいろいろな呼び方がある。調べてみると世界農業センサスでは森林の保有主体を大きなくくりとして林業事業体としている。その中に林家、林家以外の事業体と別れる。林家以外は会社や財産区、寺社、その他となる。林家は農家林家、非農家林家に分かれ、保有面積が1ha以上は林家としてカウントされる。林業家という言葉もあり、こちらは代々林業を営んできた方に対して使われる場合が多い。余談だが、林家で検索すると林業ではなく落語家がたくさん出てくる。“りんか”と呼ばず、“はやしや”と呼ぶ方が普通のようだ。

 なぜこのようなことを書いたかと言うと、当家は所有面積からは大規模林家という区分に入るらしい。一方、私は林業経営者協会に所属しているが、林家=林業経営者という図式は成り立たない。もちろん林家の基準が1ha以上なので、多くの林家が林業を生業としては成立しない。平成12年のデータでは100haから500ha未満の山林所有者の所得は平成2年の約600万円をピークに77万円にまで降下している。現在はもっと低いのだろう。当家も山林から収入と呼べるような収益は得ていない。相続を思うと頭が痛い。

 当家が山林を所有して以来、どのように山林を管理してきたのかはよく調べてみないと判らない。聞いたところでは、山林部を持って直営の作業班を雇って成り立っていた時期もあったようだ。しかし平成の世になってからは当家の専属の管理者もいなくなり、今では管理することもできていない現実がある。現在は森林組合や民間事業体に管理を委託して所有する山林を維持している。

 

 「わが子への山林継承の様子」
 「わが子への山林継承の様子」

 当家が造り酒屋である事と、当家が山林所有者であることはセットである。なぜなら当家の屋号が杉本屋だからだ。だから山も維持していかねばならない。維持するためには荒廃させてはならない。過密林は間伐してやらないといけない。雪害木は片付けないといけない。所得とはおおよそ結びつかないが、この時代はこういう時代だ。愚痴を言っても始まらない。できるだけ荒廃の少ない状態にして、子孫に残してやりたいと思う。その時々の制度、政策を知って活用し、施業をしていかないとだめだ。当会は私がそうした勉強をする、よいチャンスを与えてくれる会である。