一般社団法人 岐阜県林業経営者協会

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2014年4月号

商売には「広報」が大切                長屋邦良のぼやき

 

私は生業の主体は住宅建設会社経営であるが、住宅業界の広報から見た林業業界というか木材業界の広報について考えてみた。

 

住宅市場は昨年からアベノミクスと消費税増税時期の助けもあって久しぶりの活気づいている状態であるが、近年の家づくり市場は本当に熾烈な営業戦争が展開されている状況である。どの住宅メーカーも工務店も工法の違いにかかわらず、等しく住宅の高性能化が必至の状況である。住宅の高性能化とは主に耐震性能・省エネ性能・高耐久性能などを高いレベルに引き上げる政策であり、よりよい家を永く使うという方向に時流転換している。この熾烈な営業競争の中にあって、我々中小工務店がこの競争に立ち向かっていくためには「広報」の動きが非常に重要な要因になる。

 

 

 

「営業成績を上げるためには、まず自分が売っている商品に惚れ込んでいるかどうか!これが大事である」とよくいわれる。つまり自社の商品に自信と誇りと情熱をもって提案できるかどうかで、人に対しての伝わり方が違ってきて売り上げ成績にも表れてくるということである。このことを通信販売大手の通販生活では「売りたい魂」と呼んでいるらしい。さらに言うと、この「売りたい魂」をその商品携わるすべての人たちまで行きわたらせることが非常に重要なのである。

 

我々工務店レベルでいうと経営者はもちろん営業担当・設計担当・事務担当や現場に携わる協力会社の人たちやそのまた作業の人たちまで、いわゆるありとあらゆる人たちにまで提案している家について惚れ込んでもらえるかどうかが大きな違いになって表れるということなのである。

 

 

 

これを山の木材に置き換えて考えてみると・・・木材に対して「売りたい魂」がどこまで発揮できているのかな?ということがいささか不十分な気がしている。確かに山所有者は自分の財産ですから1円でも高く売れた方がいいと思っているが、木材価格の下落とともに昔のように値が高く売れるような期待は無く、そうすべくための気配りや手入れからは関心が無くなっている状態である。施業事業者はもちろん少しでも高く木材が売れるように市場相場や売れ筋の動向も気にして取り組んでいることと思う。

 

しかしここで肝心なのは住宅業界でいうと商品に携わるすべての人たちがその商品に惚れ込んで取り組んでいるということである。山の木を商品と考えると、本当にその山の木に携わっている人たちすべてが木に惚れ込んで高く売れるように取り組んでいるかということがまだまだ手薄なような気がしてならない。

 

 

 

山の施業は伐採して木材を売るだけが仕事ではなく植林やら間伐などの手入れに関わる作業でも事業として成り立っている。その手入れをする作業も最終的にはよりよい木材を育てるように、またよりよい値段で木材が売れるように、という最終目標に向けてあるものである。林業に関わる人口は少なくなったとはいえ林業に少しでも関わる人たちはかなりの人口がいるはずである。であるならば山の仕事に関わる人たちすべての人がもっと木材の価格が高く売れるよう意識した働きをしないといけないのでは・・・と感じてならない。

 木材に関わる全ての人が木材に対して自信と誇りと情熱をもって働きかけをすることができれば、今よりももっと木材の流通や価格に対してよい方向が見いだせているのではないかと思う。また一般の人たちにも木材に対する印象や価値も含めてより広く伝わっていくことと思う。商品としての木材という観点では業界に関わる全ての人たちを巻き込んだ取り組みがまだまだ不足していると感じている今日この頃である。