一般社団法人 岐阜県林業経営者協会

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2013年10月号

補助金を使うことの意義     遠藤雅樹のぼやき

昔はよかった

「あのヒノキは昔なら10万円はとれた」など昔は木材の値段が高かった話を年配の方からよく耳にするが、わたくしたちの世代の人間にとってはピンとこない話である。人夫賃はほとんど変っていないのに、木材の値段はドンドンと下がっていき、現在の原木の平均単価はおおむねヒノキが15,000円/㎥、スギが9,000円/㎥程である。また、物価の上昇も進み、林業の景気がよかったのはもはや過去の話である。

補助金頼みの林業

 ヒノキの造林地を30㎥/haで利用間伐を行った場合、土場まで搬出して9,000円/㎥程度かかるとして、木材の売り上げから運賃と市場手数料を差し引くといくらもお金が残らない。そして、残ったお金から会社の経費を差し引くと赤字になる計算だ。これでは山林所有者にお金を返す事も出来ない。ましてや作業道の作設や林業機械の購入などに費やすお金は無く、林業経営はまったく成り立たないであろう。皆伐を行えば手元にお金は残るのだが、それでも再造林を行ない保育をするだけの費用は出てこない。

 そこで補助金を利用して施業を行うのだが、上記の場合270,000円程度の補助金があるため、山林所有者にいくらかのお金を返す事ができ、また会社にもお金が残る計算になる。皆伐をした場合にも、植栽や保育にも補助金が付くために、それらを当てにして施業を行っている。つまり、現在の林業は補助金無くしては成り立たない産業となってしまったのだ。

補助金とは

 辞書で補助金の意味を調べると「政府が直接的または間接的に公益上必要がある場合に、民間や下位の政府に対して交付する金銭的な給付のことである」となっている。つまり、林業に補助金が支払われるのは公益上必要なことなのである。

 これには森林の荒廃による土砂崩れや大水などの災害の発生を防ぐといった事や、COの削減などの地球環境への影響がある。そして、木材の安定供給による市場のコントロールや、山間地域の雇用創出などが当てはまるのではないか。

 造林補助金の給付を受けるためには森林経営計画を立てる必要がある。また、一定の要件を満たさなくては補助金を受ける事が出来ないために、自由な施業が出来なくなるなどの弊害も生じてくるが、林業の公益性が世間に認められているから補助金を受け取る事が出来るのである。

忘れてはならないこと

 国民より集めた大切な税金を頂いて林業経営を行っている以上忘れてはいけない事があるように思う。補助金を頂いて施業を行うのが当然と考えてしまうが、森林所有者への還元と共に、災害に強い安全な国土保全のために、地域を守っているというプライドを持って林業に携わっていくべきだ。日本の産業としての林業の安定化(そして雇用の創出)と共に豊かな山林による国土の保全のために補助金を有効に活用したい。