一般社団法人 岐阜県林業経営者協会

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2013年1月号

「森林経営委託」契約の重み             河尻和憲のぼやき

ただいま属地計画立案真っ最中!

これをお読みいただいているのは年末か正月過ぎだろうと思うが、林経協の会員を始め林業事業体の皆さんは森林経営計画を申請されたか、もしくは最終仕上げの段階であろう。弊社も現在(12月上旬)森林の属地的計画データ入力の最中である。

今回の「ぼやき」は今が旬の森林経営計画に関するシリーズの第三回目(最後)であるが、センセーショナルなことを書くつもりもないし、またそのようなネタもないがお読みいただきたい。

周知の通り属地計画の場合、集約化した所有者の森林簿データ申請、計画承認に際し所有者毎の「森林経営委託契約書」(写し)が必要となる。現在弊社が進行中の計画は従来からの森林集約化計画の延長線上にあるものなので、百十数名が所有する森林簿データはそのまま使用できるが、新規に作成する場合、この契約書の作成作業と同意をいただき回収するまでが計画データ入力以上に大変な労力となる。

意欲ある小規模森林所有者を救え

大規模に集約化するには上記のように森林所有者を取りまとめねばならないが、元信州大学の島崎先生によると、所有者には大きく分けて4パターンあるという(島崎洋二氏著「山造り承ります」より)。私なりに表現を変えれば一つ目は、採算が取れるかは別として補助金など利用せず長年の経験と実績からオリジナルの森林経営計画とも言うべき独自の方法で施業に取り組んでいる階層。二つ目は、機械もノウハウもないが維持管理はできれば自分でやりたいという層。三つ目は、山は放っておけないので何とかしたいが、技術はないので第三者に委託して維持したい、でもお金はかけたくない所有者の層。4つ目は森林に全く興味がない無関心層である。

   最近は4つ目の階層がかなり増えてきているが、説明会などでの参加者のご意見を聞くと、比較的意欲ある所有者である第二、第三の層が実は結構存在すると思われる。実際に弊社で計画立案中の区域に取り込められない場所にこのような所有者がおられるのだが、林班の1/2以上という面積もないので単独での計画も立てられない。なおかつ隣接する周りが所有者も一向に同意しようとしないか、連絡先が分からない第四の層が大多数のため共同計画を立てようにも立てられない。このような場合、属地計画は意欲ある小規模所有者を救えるだろうか?

条例化や規制緩和の必要性

そのような折、県からの通達で、昨年の森林法改正に伴い市町村長の働きかけに応じない所有者に対し計画参画への斡旋を行い、それでも応じない場合は面積規模基準から除外する(林班面積1/2以上要件に達しなくてもよい)との案内があった。

これにより意欲ある所有者や計画作成者を救済できるかは、この斡旋に対する市町村長の取組み姿勢如何も大きく影響する。また計画自体も大きく変わるように思える。斡旋はあくまで昨年改正された森林法における努力目標のようなものなので首長が斡旋に熱心でない場合、簡単に面積基準から除外して安易に小規模な計画が乱立するかもしれず、また逆に斡旋に心血を注ぐあまり、計画樹立までにそれに相当な時間と労力を費やし過ぎてしまう恐れもある。

 行政には努力目標ではなく、条例化して法的なペナルティーを科すなど拘束力を持たせるとか、あるいは計画作成者には全ての所有者情報を開示するといった規制緩和をするなど思い切った対応を取って欲しい。自治体間に温度差がありすぎると現場は混乱してしまうが、逆に各自治体の足並みが揃えば、一気に森林整備を進められる強力な後押しとなると思う。

信頼の証である属地計画

 森林経営計画作成は前述したように委託契約締結やデータ入力など、非常に面倒な作業であることは皆さんも身を持って感じていることだろう。しかし今までの森林施業のみの委託契約と違い、森林の保護までを明記した森林経営委託契約は所有者との信頼関係を築く大きなチャンスでもある。署名捺印をいただいた方の中には、先程の第四の層である森林に対し全く興味のない所有者もおられるだろうが、それでも大多数の方は委託先を信頼してサインをしていただいているはずである。森林経営計画は、言わば「信頼の証」でもあり、その集大成であることをもう一度認識して取り組んでみたい。委託された百十数人の信頼を裏切ってはならない。