一般社団法人 岐阜県林業経営者協会

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2014年6月号

山と共に生きる 2                    大塚明のぼやき

 

 早いもので今年も山々に緑の新芽が吹き、秋の紅葉以上にきれいな様相になってきた。毎年この時期に山菜取りに山に入った時に雪害を目にする。今年は雪も少なく被害は少ないであろうと山に入ったが、5年生の桧植林地では80%程度被害を受けていた。慌てて雪起しの作業に入ったのであった。

 また40年~45年生の植林地にも少しではあるが、倒木・折損の被害はあった。間伐が遅れたことにより、雪害に弱い林にしてしまったのかもしれないが、後戻りはできないので仕方ない。

 

 前回もこのぼやきにて述べたが、我社の林業歴は浅いため独自の施業方法を確立している訳でない。すべてが初めての経験であって、これから先も未知の世界に見様見真似で挑戦していくことになる。

 昨年、約6haの林齢4345年生の桧林(多少杉もあったが、以前の雪害が多く伐採は少しであった)の搬出間伐を行った。30㎥/ha の搬出量で林道密度は少ないので、架線での集材であった。予想はしていたが収支としては木の売上が30%に留まり残り70%が補助金での収入であった。搬出した材のほとんどが小径木・パルプ材であり安値であったことは確かであるが、いかにも情けない内容である。経営計画の関係で今年を含め、あと4年間同様の林を間伐することになっているが、木の売上金額が上向く要素はなく少しでも赤字が小さくなるよう作業に工夫するしかない。間伐が必要な林を早く施業することが大事であることは解っているが、こんな状況では少しずつ施業するしかない。1020年をかけていては手遅れになるかもしれないが、単年度の経営を考えると無理はできない。出来る限り長期スパンで施業していくつもりである。施業が終った林がスッキリし気持ちよく感じられるのが僅かばかりの救いである。

 

 高度成長期以後、日本の生活様式は目まぐるしく変化し便利な世の中になった。そんな中で育った私達が以前の暮らしに戻ることはできないだろう。しかし、自然の中で育つ木はそんなスピードで育つことはできず毎年決まって1つの年輪しか増やせない。木と関わりそれを経済活動の源としている林業にとって、このギャップをどうやって埋めていくか、どう付き合っていくか、木材の利用方法、山林の利用方法も含め考えなくてはならない。

 山林面積が90%を超える山国に住む私とって、これだけの資源をいかに日々の生活に結びつけ、未来に引き渡すことが出来るか、正念場である。幸いなことに我社の林業歴が浅いため変化に対応しやすい。そのメリットを活かしこれからも山と共に生きていこう。